前回に引き続き、不動産の値引きについて考えて見ます。
「値引きをして不動産を購入すること」は、売買を担当する不動産会社にとっては不利益であるということをお話しました。
手取りが少なくなる上に、契約・決済まで持っていける可能性が低いからです。
なぜなら、多くの場合、物件を購入することより、値引きすることの方が目的に変わってしまうからです。
「希望通りの金額になりました」となっても「家族が反対して…」と何らかの理由を後付して購入しない。
不動産に携わっている人は、同様の経験をしたことは多いと思います。
「そんなこと言ったって、売買決まらなければ、お金にならないんだから!」と言うお客がいることも前回触れました。
その言動を後押ししているのが、「売ったら、いっぱいお金をもらえるでしょ」という考え方です。
初歩的な話をします。
1000万円のマンションを売却しても、同額お金が入ってくると思ったら大間違いです。
売っている会社と不動産を持っている人が同じ『売主物件』でも、仕入れや改装費などあるわけです。
売っている会社と不動産を持っている人が違う『仲介物件』なら、利益は『仲介手数料』だけです。
1000万円の場合、売買価格の3%+6万円に消費税ですから、36万円の消費税です。
会社組織にいれば、36万円の割合計算になるわけです。
もし、100万円値引きし場合、仲介手数料は3万円減ります。
同じ手間を費やして、目減りする仕事をする営業ってどうなんでしょうか?
ようは、「納得いく不動産購入には、担当者や不動産会社のウェイトが高い」ということです。
不動産を持っている人と買いたい人が直接交渉できれば、別問題ですが、そうはいきません。
あなたの代わりに値段を下げる交渉をしたいのですから、「値引きの理由」が欲しいのです。
ただ闇雲に安くしてください、という言葉をぶつけなければならないわけですから、大変なわけです。
購入検討者が「こんな高い価格じゃ、売れないから値段を下げてよ」と営業マンにいったとします。
仲介にいる営業マンは、そのまま売主に言ったら「そんな奴には売らない!」っていわれるのが目に見えているわけです。
そんな関係になってしまったら、別物件でも力を貸してもらえることにはならないでしょう。
ちなみに、内覧と値引き交渉だけ繰り返して不動産会社を点々とする問題客の情報は、同業他社の間でやり取りされています。
不動産会社にとって、「いずれ買う」と見せかける買わないお客は、冷やかし以下ということでしょう。
トヨタの最上位車種を売る会社は、見込みはないお客には「どうぞご覧ください」だけいって、接客しません。
ティファニーやエルメスも同様です。
接客しないなんてお客に失礼、ではないのです。
買わないのに来店するほうが失礼と言う考え方なのです。
本気で買う意思があるのなら、前回の結論にしましたが、「目標金額」を設定することです。
そうすれば、不動産会社の人が売主に、「これしか予算が無いんですから」と言えるわけです。
これは、誰も傷つかない当たり障りのない、交渉の落とし所になります。
また、目標金額を決めることは、必然的に、購入できるマンション物件を絞れることになり、物件購入の現実味が増えてきます。
イメージより安くてもいいんです。
「このぐらいで買えるマンションないですか?」と聞いて、出てくる物件情報で、立ち位置を確認することが重要です。
□あなたの要望を担当者が代わりに交渉している事実を認識しよう。
※プログの無断転用を禁止します。記載日/2017.5.19
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